そこでしかみられない綺麗な景色を眺め、土地のものに舌鼓を打つ。
旅の魅力は人によってさまざまです。
地元の方との交流、人との出会いも大切な旅の醍醐味ではないでしょうか?
島民に出会い、島の生活に少しだけ触れてみる。
島民の生きる「時間」を感じることができるはずです
徳之島の紹介
静かな時の流れ、心地よい風の音、力強い太陽の光。そしてこの自然の下で調和する島民の暮らし。鹿児島空港から南へ約450kmに浮かぶ徳之島は、それぞれ少しずつ表情の異なる約60の集落から成り立っています。
「石垣とガジュマルの里」阿権集落
島の南西部に位置する阿権集落は豊かな自然と隣接し、のんびりとした時間が流れる集落です。至る所に昔ながらの石垣が現存し、人々の暮らしに溶け込んでいます。
また、樹齢300年を超えるガジュマルも集落のシンボル的な存在です。
阿権集落の住民 平陽子さん
そんな、阿権集落の住民である平陽子さん。
いつも優しい笑顔で出会った人を包み込んでくれます。
今回は陽子さんの「おさんぽ」に同行させてもらいました。
お散歩へ出発
「お邪魔しま〜す」
陽子さんのご自宅にお邪魔すると、
せっせとお茶の準備をしてくれているところでした。
「たくさん歩いたら、お茶が美味しいのよ〜。楽しみにしていてね」
陽子さんはとても料理上手。いつも美味しいおやつを作ってくれます。
お散歩から帰って手作りのおやつをいただきながらお茶を飲む。この時間が幸せです。
きっといつも、お友達同士でお茶しているんだろうな〜。
「それでは、行きましょうね。」
陽子さんのお散歩スタートです。
集落
まずは集落の中をお散歩です。
至る所に見られる石垣ですが、実は一つ一つ積み方や使われている石の形が異なります。
昔からお金持ちの多い集落で、立派な石垣が今でも残ります。
歴史的な背景や、文化的なお話を教えてもらいながら興味津々。
時には
「ここは昔、私のデートの待ち合わせ場所だったの」
なんて他愛のない、でも本やネットには載っていない
お話を聞きながらお散歩は進みます。
「このお家はお庭がとっても綺麗なのよ」
「ここの庭に、全国でも珍しいおトイレがあるの!」
「あそこの畑、今年はたくさん収穫できそうね。」
「ちょっと見せてもらいましょうか。お邪魔しま〜す!」
陽子さんと一緒にお散歩していると、普通に観光で歩いていると絶対に出会えない「住民の見る景色」に少しだけ触れることができます。
阿権集落には平家の親戚の方がたくさん住われていて、陽子さんと一緒ならみなさん暖かく受け入れてくれます。
時にはお茶を差し入れしてくれる方も。
心がほっこりしちゃいます。
阿権渓谷
「今日はお天気もいいし、渓谷までいってみましょうか」
阿権渓谷は集落に隣接しており、国立公園にも指定されるエリア。
貴重な自然が、集落のすぐ側にあるのも阿権の魅力。
さまざまな植物が自生しており、鳥の囀りと木陰が心地よいお散歩コースです。
しばらく歩くと、巨大な植物が。
まるで恐竜の世界に迷い込んだような迫力のある佇まいに圧倒されてしまいます。
300年ガジュマル
お散歩の最後はいつも300年ガジュマル。
ガジュマルの木には「ケンムン」と呼ばれる妖精が住んでいると言われています。
複雑に絡み合いながら横に広がる大きな枝と、それを支える支柱根と呼ばれる根。
幻想的な佇まいに不思議と納得してしまいます。
お楽しみのお茶タイム
約1時間のお散歩から帰ると、お待ちかねのお茶タイム。
「ふりちゃ」と呼ばれる伝統文化で、玄米茶を専用の道具を使ってこんもりと泡を立てていただきます。
「遊び」が少なかった昔の徳之島で、少しでも楽しく暮らす先人の知恵なのだとか。
「お茶」と言っても小難しい作法や決まりはなく、自由にお茶をふり混ぜて飲みます。
お茶請けは陽子さんお手製のおやつ。
・集落でとれたよもぎを使ったよもぎ餅
・旬のたんかんピールが入ったシフォンケーキ
・阿権の海辺で取れたアオサのはいった天麩羅
など、陽子さんの自慢のお料理が並びます。
優しい甘さとふわふわのふりちゃ。時折流れる心地よい風がゆったりとした時間を演出してくれます。
陽子さんとお話しながら時間を忘れてくつろいでしまう至福の時間です。
肩の力を抜きに、たまにお邪魔したくなる素敵なお散歩でした。