しまのま
生活と文化とわたし

徳之島に住み始めて1年が経ちました。この1年で観光で徳之島に来ている方にたくさん会ってきましたが、徳之島はザ・観光というものよりも、住んでいるように観光するほうが楽しいのではないかと、とても思います。
なので今回は、私の島での月曜日の仕事終わりを紹介したいと思います。

さて、犬田布岬に夕日を眺めにいこうと思います。

仕事が終わって5時半ごろ、いい天気なので、犬田布岬のある”とうばる”集落に向かいます。
岬へ行く途中、日の入りには少し早すぎるので、少し寄り道して、松岡商店でイクヨさんと、カヨさんとおしゃべり。だいたい1時間くらい、楽しければ2時間弱くらい、おしゃべりします。ビールもセットにしたら、これがまさにあの、だれやみ。だれやみとは、島口で晩酌のこと、かな。すぐそこでも、集落のおじちゃんたちがだれやみしてました。
おしゃべりは、特にこれといった内容ではないけど、最近の近況報告とか、携帯の使い方教えてとか、ユニクロをネットで頼むんだったら一緒に買ったら送料無料だよ、とか。

イクヨさんのお店の前の、このベンチでおしゃべりします

私はここに、犬田布の良さを感じるのです。
自分と違う世代の人と、職場・家族以外でこういう会話をするのって、地元ではなかなかなかったなあと思います。ご近所さんとの会話で、こういう会話ができるのってなんだかとってもいい。島らしいというか、家族が増えたみたいな感覚。ああ、幸せだ、といつもこの瞬間をかみしめます。
ところで、松岡商店はご近所といっても、私の家から車で5分くらい、徒歩で15分くらいかかるから、これはご近所といえるのか、謎です。

それでは徳之島の定番観光スポット犬田布岬に向かいます。

岬へ向かう途中、仙人牧場の牛たち

日が沈む時間になりました。私はいつも、岬の駐車場に停めるんではなく、手前の道で海側に下っていって、下からの入り口に車を停めています。そこからの入り口は芝生なので、歩くのが気持ちがいいんです。はだしで歩くのもいいかも。でも、虫やハブにはお気を付けください。

そしておすすめは、岬神社。
私は友達が遊びに来てくれたときには、まず岬神社に連れていきます。
私の家に荷物を置く前にまずここにきて、〇日間犬田布集落でお世話になります、とお参りしてから観光を始めるんです。

というのも、他の島もそうかもしれないけど、徳之島はご先祖様を大切にするような人が多いと感じます。
私は大学生の時に徳之島に遊びに来たことがあるのですが、その時にある人の平屋一軒を丸ごと一人で借りて2週間過ごしたんです。
でもそのおうち、お仏壇があって、何となく夜とっても怖かったんです。だから、毎朝お水を変えたり、お線香立てをふるいにかけてきれいにしたり、出かける前にいってきますって言ってみたりしてみたんです。怖さを和らげるために。そしたら、なんだか運もよくなったみたいで虹をこれでもかとたくさん見たり、いろんな人が遊びに誘ってくれるようになったり、なんなら滞在中の2週間で友達9人つくって船で海釣りに行ったり。今考えるとす
ごい。今住んで1年経ちますが、あんなにたくさんの虹をまだ見たことはありません。

大学3年生で島に来たときに見た虹のひとつ。

つまり、徳之島のご先祖様にご挨拶したら、なんだか歓迎してくれて運を運んでくれるような気がして、島に来ましたよアピールを犬田布神社で続けています。
だからぜひ、徳之島にきたら、神社にお参りに行ってみてください。何かいいことがあるかも。

芝生の上で寝転がるのが最高

さて、お参りして、慰霊塔の見える芝生まで戻ってきたら、海が見渡せるところで座って夕日を鑑賞しましょう。日が沈んだ後でも、空の色はきれいですよおおお。
ここは、とっても静かで、イメージ的には、雑音が全部消えて、波の音だけが聞こえて、体中の力が抜けてどっしりと落ち着く感じ。伝わりますかね。夕日の美しさはもちろん、この空気感も楽しんでもらえたらいいなー。
冬はここからクジラもみられます。良さは言葉にいい表しきれないので、ぜひ犬田布岬にいらして実際に座ってみてください。この芝生は、夕方に限らずいつでも、なーにも考えずに過ごすのがおすすめです。本を読んだりとかもいいかも。

暗くなったら、三味線教室へ。

犬田布の生活館で三味線教室をやっているのですが、これは、見学ならだれでも参加できるので、ぜひ見ていただきたいと思います。
というのも、まず、先生の歌声がいい。上手なんです。そして子供の三味線もなんだかいい。小中学生が結構もう上手で、おもしろびっくりします。

かわいい先生とかわいい小中学生たち

教室は7時からのはずなのに、7時に行くと誰もいません。だいたい生徒がそろうのは8時くらい。ここで島の実力を発揮するんですねえ。

だいたいみんながそろってきて、三味線の音をただ聞いているだけでも楽しいのですが、特に、犬田布節を聴いていただきたいと思います。

ここ“とうばる”集落では昔、犬田布騒動という事件がありました。犬田布節は、そのときに島流しにされてしまった住民の気持ちが歌われた曲なのですが、その曲を先生が解説付きで歌ってくれるんです。

とうばる集落にある犬田布騒動の看板

島口で何を言ってるのかよくわからないまま聴いてもいい曲なのですが、先生の解説を聞いて、歌詞を見ながら聴くと、とっても染みます。初めて聞いたときは感動しました。感動ってこういうことか、、、みたいな。

その他にも、闘牛大会のときに歌われるワイド節とか、宴会の時のお決まりの島朝花とか、いろいろ練習してます。私はこれまで楽器を習ったことがないし、そんなに興味もなくて、始めは教室をさぼっていたけど、イクヨさんが粘り強く誘ってくれて、歌を覚えたり、少しづつ弾けるようになったら、楽しくって止まりません。
だから、私の言わんとしていることは、興味のない人も楽しめるので三味線教室、おすすめです、ということ。
あっつい日でも心は涼しくなるような居心地のいい空間で、のんびりな南の島にいるということを実感できると思います。たくさんの人に聴いてほしいなー。

こんな感じで、私の月曜日。

つまるところ、今紹介した、月曜の夕方に詰まっている犬田布の心地よさとは、頑張らなくても受け入れてくれるところなんじゃないかという考えに至りました。

一週間始まったけど、ここでリフレッシュするというか、気持ちが重くない月曜日。明日からも頑張れる週明け。
ちょっと盛ってるかもしれないけど、だいたいこんな月曜日を過ごしています。いいでしょー。

犬田布(いぬたぶ)

徳之島の南西部にある地域。とうばるはこの地域の中の一集落です。
海に三角形に突き出した岬は景勝地で、奄美十景の一つにも数えられています。芝の広場には戦艦大和の慰霊塔が立っています。

池田あゆみ

大学3年生の時に徳之島にインターンに来た時に、滞在中の2週間が驚くほど充実していて、島が大好きになりました。就活後、卒業旅行で徳之島に訪れた時に伊仙町の地域おこし協力隊を募集していることを知り、内定を取り消してもらい島への就職を決めました。何も考えず島への引っ越しを即決しましたが、毎日とっても楽しく過ごせていて、安心しています。

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